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マラカナンの悲劇

ブラジル・サッカー史上最も忘れることの出来ない出来事と言えば5年前の自国開催だったワールドカップでの「ミネイロンの悲劇」(準決勝のドイツ戦で1-7という歴史的大敗を喫した)が有名だけど、それ以前はブラジル・サッカーの聖地・マラカナンスタジアムで起こった「マラカナンの悲劇」が有名です。
それはブラジルが初めてワールドカップを制する目前でまさかの結末となったことから、ブラジル・サッカーにおいて最大級の悲劇として語られています。それが起こったのは1950年のワールドカップ・ブラジル大会、即ち1回目の自国開催という舞台だったことから、ブラジルにとって屈辱以外の何物でもありませんでした。
そんなわけで今から69年前の今日1950年7月16日は、マラカナンの悲劇が起こった日です。

1930年にウルグアイで第1回大会が行われたのをきっかけに始まったサッカーのワールドカップ、ブラジルは第1回から連続で出場しているけど、1950年当時はまだ優勝はありませんでした。
1950年のワールドカップはブラジルで開催となったが、理由として当時は第2次世界大戦が終わったばかりでヨーロッパは戦争の傷跡が残っており、唯一この年のワールドカップ開催に名乗りを上げ、かつ戦争被害が少なかったブラジルが選ばれたのです(予定していた1942年大会はドイツで開催する予定だったものの、戦争により立ち消えとなった。ドイツと同じく立候補したのがブラジルだったから、ちなみにドイツは今大会では戦争責任により参加を剥奪されている)。

そんな状況で始まったブラジルワールドカップ、開催国として優勝を目指したブラジルは1次リーグでユーゴスラビア・スイス・メキシコを寄せ付けず1次リーグを突破、決勝リーグへと駒を進めたのでした。
なぜ決勝リーグかというと、この大会では従来のノックアウト方式のトーナメントではなかった上に、スタジアム建設に多額の予算を費やしたブラジル側が試合数を増やすべしとの提案を持ちかけ、FIFA(国際サッカー連盟)は難色を示すも、戦後初となるワールドカップを成功させたい為にこの案を了承したと言われている。

各グループの1位同士で総当たりという異例のルールで始まった決勝リーグ、ブラジルはウルグアイ・スペイン・スウェーデンと相まみえるわけだが、初戦のスウェーデン戦は7-1と圧勝して幸先いいスタートを切り、続くスペイン戦では6-1とこれまた圧勝、悲願の初優勝が見えてきたわけだが、最終戦の相手はウルグアイ、ウルグアイはここまで1勝1分、ブラジルはこの試合で引き分け以上なら優勝という優位な状況で1950年7月16日、マラカナンスタジアムでウルグアイと対戦しました。

ブラジルの初優勝の瞬間見たさにマラカナンスタジアムには19万もの観衆が詰めかけ、この試合のブラジル代表は白いユニフォームに身をまといました。
試合は前半はスコアレスで折り返したが、後半早々ブラジルが先制ゴール、初優勝の瞬間に一歩前進したことで観衆は歓喜したものの、この歓喜が一瞬にして数十分後に絶望となることは知るよしもなかった・・・。

後半21分にウルグアイが同点ゴール、そして34分に逆転ゴールを許し、試合は1-2でそのまま終了。ウルグアイが第1回大会以来となるワールドカップ優勝を果たしたのだが、一方のブラジルはまさかの結末に会場は水を打ったように静まり返ったのだった。
まさかの結末に観衆は号泣し、ショックのあまり2人が自殺というショッキングな展開となり、20人が失神するというこれまたショッキングなものとなった。そりゃ自国の初優勝を信じて駆けつけたのにこの結末、ショックを隠せないのも当然である。後年この事件を教訓としてかブラジル代表は白いユニフォームを廃止して現在のカナリア色のユニフォームに変えている。ブラジル代表のユニフォームがカナリア色の理由にはこんな歴史があったと思うと、忌まわしさを忘れさせる為の措置だったんですね。

にわかには信じられないが、当時のブラジルもまた欧米と並んで人種差別が激しく、観衆の批判は3人の黒人選手へと向けられ、とりわけゴールキーパーだったモアシル・バルボーザは生涯ブラジル国民から「疫病神」と批判されたのでした。試合に負けたからって黒人のせいにするのは、白人優越という歪んだ価値観でしかない。この悲劇が原因でブラジル代表では長らく黒人のゴールキーパーを冷遇したんだから、ヒドい話です。今だったら人種差別行為で相当なペナルティを喰らうのがオチだが。

だがこの試合を見て自分がブラジルをワールドカップで優勝させたいという強い夢を持った一人の少年がいた。その少年はこの大会の8年後にスウェーデンで行われたワールドカップに出場してブラジルを悲願の初優勝へと導いたのを境に、そこから「サッカーの神様」と評されるほどの名選手となった。その少年はブラジルが敗れて涙にくれる父親に対して「悲しまないで、自分がブラジルをワールドカップで優勝させるから」と励ましたけどね。

ブラジル・サッカー史上最も忘れることの出来ないトラウマ・マラカナンの悲劇、それを完全に払拭しようと臨んだあれから64年後の2度目となる自国開催ワールドカップで優勝を目指したものの、準決勝のドイツ戦で1-7で大敗、マラカナンの悲劇以上のトラウマとなったことで、歴史が繰り返されたとしか思えないんだよね。サッカー王国のプライドと自国民からの過剰とも言えるプレッシャー、ブラジル代表ほどサッカーにおいて過酷な運命を背負っていることは間違いない。

theme : FIFAワールドカップ
genre : スポーツ

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