因縁対決は亀田興毅に軍配
昨日さいたまスーパーアリーナで行われたボクシング・WBCフライ級タイトルマッチ。私は最後までこの激闘に釘付けでした。
弟・大毅が一昨年の内藤との試合で前代未聞の反則行為を繰り返すというところから始まった亀田家と内藤の「因縁」にも終止符が打たれた感じもします(一昨年のあの試合ですが、私は「ボクシングの試合でこんなひどいのは見たことがない」と思いました)。
この両者「因縁」というよりは「宿命」だったかもしれません。一昨年の大毅対内藤の試合において大毅が反則を繰り返し判定負けを喫してから、世間からの厳しい風当たりにさらされた亀田家。2008年には自分たちのジムを設立するも試合に恵まれず焦りの日々が続いたのに対し、内藤は一躍人気となり「国民の期待」というキャッチフレーズもつけられ、その後もチャンピオンに君臨するというあの日から両極端な道だった両者。そんな中この前の内藤の防衛戦で試合後乱入して試合を申し込んだ亀田。これは亀田家の面子を守る為、そして弟の敵を取って2階級制覇。という目標だったのかも知れません。
そして迎えた今回のタイトルマッチ、試合開始直後から試合を支配し、当初は「3ラウンドKO」を予告したが、勝ちに行く為KOにこだわらず的確なファイトスタイルで内藤を翻弄し、12ラウンドまでもつれたものの判定で勝利し見事にチャンピオンとなったのだから、目標は達成したという感じはあるでしょうね。
「1カ月前は大毅の敵を取らなあかんと思ってたけど、直前は『勝ちたい』気持ちだけやった」「王者にはありがとうございますって言いたい。目上の人やしな」とこれまで見せたことのない謙虚なコメントを残すなど、成長したなと思いますね。
亀田興毅と内藤大助によるタイトルマッチ、12ラウンドに及ぶ激闘の末判定で亀田に軍配が上がり、新王者に輝いた亀田。これにより日本のジム所属選手7人目の2階級制覇となりました。引用
興毅因縁対決制し2階級制覇/ボクシング
<プロボクシング:WBC世界フライ級タイトルマッチ12回戦>◇29日◇さいたまスーパーアリーナ
「亀田3兄弟」の長男亀田興毅(23=亀田)が、王者内藤大助(35=宮田)を3-0の判定で破り、新王者となった。序盤から軽快なフットワークで有効打を重ね、WBA世界ライトフライ級に続く、日本のジム所属選手7人目の2階級制覇を達成した。弟大毅(20)が前代未聞の反則を繰り返し、内藤に敗れてから2年。弟の雪辱を果たし、内藤との因縁に区切りをつけた。プロデビュー以来初の日本人との対決を制した興毅の戦績は22勝(14KO)。
12回終了を告げるゴングを聞いた興毅が、一直線にコーナーへと走りだした。勝利を確信してポストによじ登ると、次男大毅と三男和毅が駆け寄ってきた。ジャッジ2人が6ポイント差をつける判定で撃破したことが確定すると、リングにうつぶせに倒れ、マットをたたいて泣いた。「いや、もう、今は言葉がないです」。「因縁」の相手を倒しての2階級制覇は、格別だった。
「宿命」の対決だった。07年10月、内藤の初防衛戦で弟大毅が挑戦した。投げなど度重なる反則行為で大差の判定負け。デビュー12戦全勝で世界王者になるなど順風満帆だった興毅も、内藤と大毅の世界戦を境に人生が一変した。大毅のセコンドを務めていたためJBCから厳重戒告処分、当時所属した協栄ジムからは3カ月の試合自粛処分を受けた。世間からの激しいバッシングも浴びた。08年夏には亀田家でジムを設立したが、試合がなかなか決まらない日々が続いた。
そんな中で迎えた08年秋、興毅が1度だけ、禁を破った。苦しい日々に、心が折れそうになった。「筋肉がつぶれるから」と飲酒をしない興毅が、カラオケをしながらカクテルや酎ハイを約15杯、流し込んだという。だが気持ちはまったく晴れなかった。「うまくなかったな」。酔いながら、ふと昔の自分が頭に浮かんだ。「『もともと雑草で大阪から来たんや。まだ22歳。しゃーない』って思えたんや」。周囲の目を気にせず、一家で世界王者を目指していた大阪時代。そのころの、がむしゃらさを思い出した。「おれにはボクシングしかないんや」。そこから、再出発の日々が始まった。
だからこそ、倒すのではなく、勝ちに行った。「3回KO」を予告していたが、実際は足を使ったアウトボクシングで内藤を翻弄(ほんろう)した。2回には鼻から出血させるなど、的確にパンチを当て続けた。8回終了時で3人のジャッジが興毅を支持。「KOしたかったな。でも、勝つのが一番やったから。集中して余計なこと考えんようにしてた」。大毅の敵討ちをしての2階級制覇達成のため、亀田家復活のため、興毅の心はぶれなかった。「1カ月前は大毅の敵を取らなあかんと思ってたけど、直前は『勝ちたい』気持ちだけやった」。自分の距離を守り、内藤の猛攻をかわしきった。
試合後の会見。因縁には決着がついたかと聞かれると、興毅は「きわどい判定じゃないしな」と笑顔で“終結”を宣言。「王者にはありがとうございますって言いたい。目上の人やしな」と敬意を表した。次戦は内藤が2年前に勝った同級暫定王者のポンサクレック(タイ)と対戦の可能性がある。「内藤選手ともう1回? やらんよ。もっと先にいかなあかんから。1つの通過点」と、目標とする3階級制覇に目を向けた。会見の最後、興毅は「今日は甘いものをいっぱい食べます! スイーツの食べ歩きでもしようかなあ」と、きれいな顔をくしゃくしゃにして笑った。前回の世界戦から1075日。2本目のベルトを手にし、すべてから解放された興毅がようやく、心の底から笑った。【浜本卓也】
[2009年11月30日8時12分 紙面から 「nikkansports.com」より]
弟・大毅が一昨年の内藤との試合で前代未聞の反則行為を繰り返すというところから始まった亀田家と内藤の「因縁」にも終止符が打たれた感じもします(一昨年のあの試合ですが、私は「ボクシングの試合でこんなひどいのは見たことがない」と思いました)。
この両者「因縁」というよりは「宿命」だったかもしれません。一昨年の大毅対内藤の試合において大毅が反則を繰り返し判定負けを喫してから、世間からの厳しい風当たりにさらされた亀田家。2008年には自分たちのジムを設立するも試合に恵まれず焦りの日々が続いたのに対し、内藤は一躍人気となり「国民の期待」というキャッチフレーズもつけられ、その後もチャンピオンに君臨するというあの日から両極端な道だった両者。そんな中この前の内藤の防衛戦で試合後乱入して試合を申し込んだ亀田。これは亀田家の面子を守る為、そして弟の敵を取って2階級制覇。という目標だったのかも知れません。
そして迎えた今回のタイトルマッチ、試合開始直後から試合を支配し、当初は「3ラウンドKO」を予告したが、勝ちに行く為KOにこだわらず的確なファイトスタイルで内藤を翻弄し、12ラウンドまでもつれたものの判定で勝利し見事にチャンピオンとなったのだから、目標は達成したという感じはあるでしょうね。
「1カ月前は大毅の敵を取らなあかんと思ってたけど、直前は『勝ちたい』気持ちだけやった」「王者にはありがとうございますって言いたい。目上の人やしな」とこれまで見せたことのない謙虚なコメントを残すなど、成長したなと思いますね。