新弟子リンチ死事件

これは大相撲の歴史における最大の汚点の一つとして有名な事件で、衝撃度も大きいものだが、角界におけるある常識に対する批判が集中したこともまたそれを物語っているし、また相撲界の体質そのものを変えねばならないと感じた事件でもありました。

2007年6月26日、愛知県犬山市にある時津風部屋の宿舎で新弟子として入門した当時17歳の少年が稽古中に心肺停止の状態で病院に搬送されたものの、すぐに死亡が確認されたと言う最悪の展開となったことに始まった時津風部屋力士暴行死事件、またの名を新弟子リンチ死事件。遺体の残された外傷及び当時の時津風親方(双津竜順一)の発言を不審に思った少年の両親が地元の救急病院に相談し、遺体を新潟大学医学部で調べたところ暴行の事実が発覚したのです!!

その実態は、稽古の厳しさ及び人間関係の問題で脱走したところ時津風親方がビール瓶で殴打したり、他の力士に対し「かわいがり」を指示して限度を超えたぶつかり稽古をしたり、倒れた少年の体を蹴ったり金属バットで殴ると言う集団リンチまがいの行為をしたって言いますから、常識を逸しているとしか言い様がありません。
相撲用語でしつけや心身鍛錬目的での厳しい稽古を意味するかわいがり、だがこの事件でネガティブなイメージを与え、後年いじめやパワーハラスメントの代名詞としても用いられるようになったのです。これは高校野球などにおいて上級生が下級生に対する理不尽なしごきやハラスメントもまたしかりだが。

この事件を日本相撲協会はと言うと、当時の北の湖理事長が「部屋の問題」一点張りで全容を全く見ておらず日和見的な姿勢を取ったんだから、開いた口が塞がらないと言うか・・・。

その後相撲協会は時津風親方を永久追放、その後裁判で有罪判決を受け(暴行に加担した兄弟子数名も裁判で有罪判決を受け、解雇となった)、部屋持ちの親方として初の解雇と言う展開となり当時部屋の最高位だった前頭7枚目の時津海が急遽引退して時津風を襲名して部屋を引き継ぐと言うことにもなった。
また現役で通用するのに部屋の不祥事で親方が追放され、部屋を引き継ぐ為やむなく引退って可哀想でならないが。これはまだ現役に未練があるのに監督に就任する為に引退させられた高橋由伸と同じに見えてくる。

「遺体はこちら(時津風部屋)の方で荼毘にふすから」と時津風親方は遺族からの要求を拒否したが、典型的な「臭いものには蓋」でしかない。

力士への稽古指導が刑事事件にまで発展、これまで相撲界の常識だったかわいがりへの風当たりが厳しくなったこともあるが、相撲界のイメージを毀損させたことには変わりないし、ただでさえ当時は相撲離れが進んでいただけにそれを助長しかねない事態なことは間違いない。親とすれば預けたくもないでしょう。
伝統的に閉鎖的な社会及び体育会系的な価値観が強い相撲界、こんな前近代的かつ根性論しか感じない世界だったのかと言いたくなる。
「こんな危ない世界に我が子を預けられるか!!」って当時ほとんどの親は思ったでしょう。瓶で殴打するなど暴力も厭わないパワハラがまかり通る、まるでヤクザか豊田真由子と同じもいいところだ。

スポーツ界において度が過ぎたリンチ行為により刑事事件にまで発展、1982年に当時阪神の島野育夫・柴田猛両コーチが審判の判定に激怒し殴る蹴るの暴行をしでかして警察沙汰に発展した上に無期限出場停止処分を受けたケースがそうだけど(後に解除)、この事件はそれ以上に悪質性が強いと言うか社会に与えた衝撃が強い気がしてなりません。
それと相撲協会、身内だけで不祥事に対して毅然かつ厳しい姿勢が取れるとは思えず、これは外部から委員を招聘すべきだし、しいてはプロ野球界におけるコミッショナーのような最高責任者を外部から招聘したほうがいいともこの時思いました(外部委員については後年導入しているが)。

相撲界最悪レベルのスキャンダルの一つである時津風部屋新弟子リンチ死事件、相撲界の常識がいかに普通の社会と異なるものであることもそうだし、相撲界の信用に関わる大ごとにもなったんだから決してこの事件は忘れてはならないです。

theme : 許されない出来事
genre : ニュース

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