「世界の王」が受けた最大の屈辱

今でこそパ・リーグ屈指の常勝チームとなった福岡ソフトバンクホークス、その礎を築いたのは言うまでもなく王貞治名誉会長ですが、その王が監督に就任した当時の福岡ダイエーホークス(当時)は万年Bクラスの弱小チームで、南海時代(1978年から)から17年連続だったことを考えればなお更だった。
万年Bクラスに終わり続けていることで当然ファンのフラストレーションも溜まるのだが、それが爆発して起こったのがあの「生卵事件」これは「世界の王」と謳われスター街道を歩み続けた王にとって最も屈辱を受けた事件としてつとに有名です。
そんなわけで今から20年前の今日1996年5月9日は「生卵事件」が起こった日です。場所は今は亡き日生球場です。

1995年、王貞治を新たに監督に迎えたダイエー、前年は4位ながら優勝争いに絡む活躍を見せており、この年のパ・リーグの台風の目として注目されたものの、蓋を開ければ序盤こそ優勝争いに絡むものの主力の故障や外国人選手のトラブル、さらに投手力が弱く中盤辺りからズルズルと後退し、最終的に5位に終わったのだった。
この当時を振り返って王は「同じミスを何回も繰り返す」「勝利への執念がなくチーム全体がぬるま湯に浸っている」と指摘している。

そして2年目となる1996年、ロッテとの開幕戦ではエース・伊良部秀輝ではなく前年苦手としていたサウスポーの園川一美をぶつけられるなど、かなり軽く見られての船出でした。
かねてから懸念だった投手陣は不安定な上、前年ホームラン王だった小久保裕紀は相手からの徹底マークにあって案の定開幕から低迷し、早くも最下位に沈み4月を終えた時点で借金9、ファンのフラストレーションだけが溜まりに溜まったのだった。

そして迎えた5月9日、日生球場で行われた近鉄戦でそれが爆発したのでした!!
この試合の時点で借金は12と最下位だったこともあり、試合前から殺伐としたものでした。

「王ヤメロ」「ヘタクソ采配」「その采配が王まちがい」と王を非難したり采配への不満をぶつける横断幕や、さらには「南海復活」「門田助けてくれ!」「杉浦帰って来い」などの横断幕が掲げられ、ただならぬ雰囲気でした。
試合はダイエーが先制するも近鉄にあっさり逆転され、最後に詰め寄るも2-3でまた負けてこの時点で4連敗を喫したのだから、かねてから怒っていたファンの怒りの火に油を注いでしまったのです。

試合後ダイエーナインを乗せたバスをファンが包囲し「お前らプロか!?」と怒号を浴びせ、何と!! 生卵が次々とバスめがけて投げつけられると言う暴挙に出たのだった!! あまりの不甲斐なさにファンの怒りは頂点に達したかも知れないが、常軌を逸した行為にしか見えない。
フロントから一方的に責任を負わされて監督を解任された巨人時代と違い、ファンからこのような心ない仕打ちを受けた王に取っては相当屈辱でしかなく「俺はこんな仕打ちを受ける為に博多に来たんじゃない」と激しく憤り「これがファンの声だと取るなら勝つしかない」とじっと耐えたのでした。

スター街道を歩んだ王に取ってこれほどまでの怒号と罵声を浴びるなど考えられないことだが、まさか卵を投げつけられるとはもっと考えられなかっただろう。

奇しくもこの試合は日生球場で行われた最後のプロ野球の試合で、最後の試合がこのような殺伐したものになろうとは考えもしなかったでしょうね。あれから10年後の2006年にこの事件を偲ぶイベントを当時のファンが跡地にて実施したのは有名。

この年は王にとってもっとも屈辱的なシーズンだったが、それを乗り越えてホークスを常勝チームにしたのは言うまでもないが、長年のチームの不振、その不振に対するファンの怒りが間違った方向に行ってしまった事件として生卵事件はプロ野球史に刻むべきでしょう。阪神も暗黒期にここまでファンからキツい仕打ちを受けたこともなかったが・・・(同年阪神は開幕から最下位に沈み、長年の低迷にファンが激怒して応援ボイコットと言う行為に及んだ)。
チームが不甲斐ないからって選手を載せたバスを取り囲んで罵声を浴びせたり、まして物を投げつけるなんて常軌を逸脱してますが、この時は正直言って相手は「世界の王」、その王を侮辱するような行為だから許されるもんじゃない。この行為はサッカーのフーリガンレベルでファンと呼ぶに値しないです。ブラジルのサッカーファンでもそこまでやるだろうか。

theme : 福岡ソフトバンクホークス
genre : スポーツ

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