今回の人種差別撤廃会議を振り返って
20日からスイスのジュネーブで開催された国連主催の世界人種差別撤廃会議は、21日に2001年に南アフリカのダーバンで開催された際の「成果文書」を前倒し採択するなど荒れに荒れた内容としか思えないと私は思います。
開催前からアメリカが参加を拒否し、それに追随してカナダやオーストラリアなども不参加を表明したところから始まっていたと思うし、理由として前回の会議の際に、採択された成果文書の中に「イスラエルに対する非難」に対する抗議が含まれていることへの抗議かも知れないが、ユダヤ系ロビーの反対が強かったことだろう、これに対しアメリカの人権団体や黒人団体はなぜ不参加に対して抗議をしなかったのかも疑問ではあるが・・・。ブッシュ(子)政権時代は露骨にイスラエルに肩入れし、パレスチナ問題ではことあるごとにイスラエルの正当性を主張したことで、アラブ諸国における反米感情を高めたのは言うまでもない。
またアメリカに追従する形で不参加を表明したカナダやオーストラリア、オランダなどが不参加した理由として「イスラエル批判と言論規制の入った文書案は受け入れられない」としたが、アメリカに追従したのではなく、イスラエル、ユダヤに追従したといった方がいいだろう。ただこの対応に対しアラブ諸国からは「シオニストの肩を持つアメリカとヨーロッパは悪魔の使いだ」と反欧米感情を高めるとは思うのだが・・・、とにかく開催前から存続の危機だったと言わざるを得ない。
初日となった20日、会議の参加国で唯一出席した首脳、イランのマフムード・アフマディネジャド大統領の演説が荒れる展開を引き起こしたのだった。
アフマディネジャド大統領は演説で「占領地パレスチナに徹頭徹尾、人種差別の体制を築こうと欧州や米国から移民が送り込まれた」「多数の西側諸国と米国が人種差別的な虐殺の加害者を擁護しているのは、なおさら遺憾なことだ」と持論のイスラエル批判を展開し、イスラエルの肩を持つ欧米をこき下ろし、またイスラエルを「最も残虐で人種差別を行う体制」とこき下ろしたのだった。
アフマディネジャド大統領のあまりにも常軌を逸脱した演説にフランスやデンマークなど欧米諸国の代表団は途中で退席し、NGOグループからは「お前こそ人種差別主義者だ!」と罵声が飛び、物が投げ込まれるなど相当な荒れ様となったが、当のアフマディネジャド大統領は涼しい顔で笑みをこぼす一幕もあった。
「お前こそ人種差別主義者だ!」と抗議した背景には、知っての通りイランには多くの人権問題があり、北朝鮮やミャンマー、ジンバブエ、中国には及ばないものの人権問題が槍玉に挙げられており、アムネスティ・インターナショナルからイランは「最も人権問題が多い国家」の一つとして非難されており、アメリカ政府もまたイランを「人権侵害のある国家」の一つに指定するなど問題となっている。
イランでは女性に対する差別がひどく、またイスラム法に則って行う刑罰も残酷だとして問題視され、報道や表現の自由もまたイスラムに反するものは処罰の対象となるなど、欧米の人権団体からすればイランは中国同様批判の対象でしかないのだ。人権問題や表現の自由がない国の国家元首が人種差別をなくそうとする会議に出て演説をすること自体が考えられないし、なぜそんな人間が人権を語るんだ!?と思うだろう。もしこれが中国の首脳だったらもっとひどいことになっただろうと思います。私はアフマディネジャド大統領のこの過激極まりない演説に見たのは、イラン国内の不都合をひた隠す為にやったんだろう?と推測するし、特定アジアの反日政策と変わらないじゃないか!?とも思いますし、アラブ諸国は自国の不都合から目を反らす為にアメリカとイスラエルを叩いて憂さを晴らしてるんだ?と改めて感じました。
アフマディネジャド大統領の演説に対し、国連の潘基文国連事務総長は「人種差別を根絶する為の会議を糾弾と分断、扇動に利用した」と述べ、また「(演説は)会議が達成しようとしているものと正反対だ。人種問題に関する建設的な解決策の構築を極めて困難にした」とナショナリズムに利用したことを批判し、アメリカのウォルフ国連副大使もまた「恥ずべきで不愉快、扇動的」と不快感を示すなど、人種差別を根絶する為の会議でこのような言動を起こしたことへの批判が相次ぎました。
同席した国連のピレイ国連人権高等弁務官も「国連は、政治的スタンドプレーの場ではない」と批判し、また「こうした場での最適の対処法は、反論し、相手の間違いを正すことであり、議場から退出したり、ボイコットすることではない」とボイコットした欧米諸国の対応にも苦言を呈すなど、波紋は広がったのでした。今回の会議での欧米諸国の相次ぐボイコットに対して、アジア・アフリカ諸国からは「白人は人種差別をなくそうと言う考えがない」「ユダヤ人には対等な態度を取るのに、我々に対しては全然違う」「そうやって我々に対して行った行為から逃げるんだ?」と不満も出るかも知れませんね。
24日に予定していた「成果文書」の採択を21日に前倒しで行うなど、荒れに荒れた人種差別撤廃会議、こうなった背景には欧米とアラブでイスラエルに対する認識の温度差が招いたとしか言えないでしょう。
「アメリカとヨーロッパはシオニストの肩を持つ悪魔の使いだ!」と今回の会議でアラブにおける反欧米・反イスラエル感情は高くなると思うし、人種差別をなくすためのサミットがかえって人種対立を煽る結果になってしまったのは残念としか言えないし、また今回の会議で取り残されたアジア・アフリカ諸国にも、イスラエルに対する認識が変わってしまうのでは?と思いますし、欧米に対する不満も出ると思います。今回の会議を振り返って、欧米とアラブでイスラエルに対する認識のズレが改めて浮き彫りとなったと思いましたし、パレスチナ問題の代理紛争となったとしか言えません。また今回の欧米の対応については、あまりにもユダヤ人に対して甘すぎないか?と思いました。
開催前からアメリカが参加を拒否し、それに追随してカナダやオーストラリアなども不参加を表明したところから始まっていたと思うし、理由として前回の会議の際に、採択された成果文書の中に「イスラエルに対する非難」に対する抗議が含まれていることへの抗議かも知れないが、ユダヤ系ロビーの反対が強かったことだろう、これに対しアメリカの人権団体や黒人団体はなぜ不参加に対して抗議をしなかったのかも疑問ではあるが・・・。ブッシュ(子)政権時代は露骨にイスラエルに肩入れし、パレスチナ問題ではことあるごとにイスラエルの正当性を主張したことで、アラブ諸国における反米感情を高めたのは言うまでもない。
またアメリカに追従する形で不参加を表明したカナダやオーストラリア、オランダなどが不参加した理由として「イスラエル批判と言論規制の入った文書案は受け入れられない」としたが、アメリカに追従したのではなく、イスラエル、ユダヤに追従したといった方がいいだろう。ただこの対応に対しアラブ諸国からは「シオニストの肩を持つアメリカとヨーロッパは悪魔の使いだ」と反欧米感情を高めるとは思うのだが・・・、とにかく開催前から存続の危機だったと言わざるを得ない。
初日となった20日、会議の参加国で唯一出席した首脳、イランのマフムード・アフマディネジャド大統領の演説が荒れる展開を引き起こしたのだった。
アフマディネジャド大統領は演説で「占領地パレスチナに徹頭徹尾、人種差別の体制を築こうと欧州や米国から移民が送り込まれた」「多数の西側諸国と米国が人種差別的な虐殺の加害者を擁護しているのは、なおさら遺憾なことだ」と持論のイスラエル批判を展開し、イスラエルの肩を持つ欧米をこき下ろし、またイスラエルを「最も残虐で人種差別を行う体制」とこき下ろしたのだった。
アフマディネジャド大統領のあまりにも常軌を逸脱した演説にフランスやデンマークなど欧米諸国の代表団は途中で退席し、NGOグループからは「お前こそ人種差別主義者だ!」と罵声が飛び、物が投げ込まれるなど相当な荒れ様となったが、当のアフマディネジャド大統領は涼しい顔で笑みをこぼす一幕もあった。
「お前こそ人種差別主義者だ!」と抗議した背景には、知っての通りイランには多くの人権問題があり、北朝鮮やミャンマー、ジンバブエ、中国には及ばないものの人権問題が槍玉に挙げられており、アムネスティ・インターナショナルからイランは「最も人権問題が多い国家」の一つとして非難されており、アメリカ政府もまたイランを「人権侵害のある国家」の一つに指定するなど問題となっている。
イランでは女性に対する差別がひどく、またイスラム法に則って行う刑罰も残酷だとして問題視され、報道や表現の自由もまたイスラムに反するものは処罰の対象となるなど、欧米の人権団体からすればイランは中国同様批判の対象でしかないのだ。人権問題や表現の自由がない国の国家元首が人種差別をなくそうとする会議に出て演説をすること自体が考えられないし、なぜそんな人間が人権を語るんだ!?と思うだろう。もしこれが中国の首脳だったらもっとひどいことになっただろうと思います。私はアフマディネジャド大統領のこの過激極まりない演説に見たのは、イラン国内の不都合をひた隠す為にやったんだろう?と推測するし、特定アジアの反日政策と変わらないじゃないか!?とも思いますし、アラブ諸国は自国の不都合から目を反らす為にアメリカとイスラエルを叩いて憂さを晴らしてるんだ?と改めて感じました。
アフマディネジャド大統領の演説に対し、国連の潘基文国連事務総長は「人種差別を根絶する為の会議を糾弾と分断、扇動に利用した」と述べ、また「(演説は)会議が達成しようとしているものと正反対だ。人種問題に関する建設的な解決策の構築を極めて困難にした」とナショナリズムに利用したことを批判し、アメリカのウォルフ国連副大使もまた「恥ずべきで不愉快、扇動的」と不快感を示すなど、人種差別を根絶する為の会議でこのような言動を起こしたことへの批判が相次ぎました。
同席した国連のピレイ国連人権高等弁務官も「国連は、政治的スタンドプレーの場ではない」と批判し、また「こうした場での最適の対処法は、反論し、相手の間違いを正すことであり、議場から退出したり、ボイコットすることではない」とボイコットした欧米諸国の対応にも苦言を呈すなど、波紋は広がったのでした。今回の会議での欧米諸国の相次ぐボイコットに対して、アジア・アフリカ諸国からは「白人は人種差別をなくそうと言う考えがない」「ユダヤ人には対等な態度を取るのに、我々に対しては全然違う」「そうやって我々に対して行った行為から逃げるんだ?」と不満も出るかも知れませんね。
24日に予定していた「成果文書」の採択を21日に前倒しで行うなど、荒れに荒れた人種差別撤廃会議、こうなった背景には欧米とアラブでイスラエルに対する認識の温度差が招いたとしか言えないでしょう。
「アメリカとヨーロッパはシオニストの肩を持つ悪魔の使いだ!」と今回の会議でアラブにおける反欧米・反イスラエル感情は高くなると思うし、人種差別をなくすためのサミットがかえって人種対立を煽る結果になってしまったのは残念としか言えないし、また今回の会議で取り残されたアジア・アフリカ諸国にも、イスラエルに対する認識が変わってしまうのでは?と思いますし、欧米に対する不満も出ると思います。今回の会議を振り返って、欧米とアラブでイスラエルに対する認識のズレが改めて浮き彫りとなったと思いましたし、パレスチナ問題の代理紛争となったとしか言えません。また今回の欧米の対応については、あまりにもユダヤ人に対して甘すぎないか?と思いました。