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ユーゴスラビア代表、国際舞台から「追放」

 現在はセルビア代表としてその名残を残してますが、かつては「東欧のブラジル」とも呼ばれ、テクニシャン揃いで数多くの好選手を輩出したサッカーのユーゴスラビア代表、ヨーロッパのサッカーシーンにおいて強豪国の一つとしても名を馳せましたが、そのユーゴを語る上で欠かせないのが当時激化した旧ユーゴスラビアの情勢に振り回されたことでしょう。かつてはヨーロッパ選手権の出場権を取りながら政治的な理由で剥奪されたことも記憶に新しいです。今から20年前の今日1992年5月31日は、ユーゴスラビア代表がユーロ92(1992年のヨーロッパ選手権)への出場を剥奪され、開催国であるスウェーデンからの帰国を余儀なくされた日です。

 ドラガン・ストイコビッチ、デヤン・サビチェビッチなどの名選手を要した1990年代のユーゴスラビア代表、1990年のイタリア・ワールドカップではベスト8に輝くなど絶頂期にありましたが、母国ユーゴでは連邦内の各共和国(クロアチア・スロベニアなど)で独立志向が強まり、ユーゴを形成するセルビア共和国では民族主義者スロボダン・ミロシェビッチが大統領となって民族主義が高まるなどキナ臭くなっていったのでした・・・。
 1991年にクロアチアとスロベニアが独立宣言を発表し、翌1992年にはボスニア・ヘルツェゴビナが独立を宣言し、独立を認めないセルビア共和国が軍事介入して首都サラエボを包囲したことでボスニア・ヘルツェゴビナ内戦が勃発し、紛争は激化の途を辿ってスレブレニツァの虐殺に代表されるほど、血生臭い事態を引き起こしました・・・。

 そんな母国が大混乱にあえいでいる中で、ユーゴ代表はスウェーデンで行われるヨーロッパ選手権出場を決めたのでしたが、スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、マケドニア出身の選手たちはユーゴ代表としての参加を拒否すると言う事態となりました。スロベニアなどが分離独立したことで当時国旗につけられていた中央の赤い星が削除され、新ユーゴスラビア共和国として再出発しましたが・・・。
 それでもユーゴ代表は大会前のオランダとのテストマッチを0-2で負けながらも、手応えを感じてましたが、これがユーゴスラビア代表として最後の試合になろうとはまだ知る由もなかったのです・・・。
 4月6日、前述のサラエボ包囲で多数の犠牲者が出て、それがセルビア人勢力の仕業だと言う報道が全世界に流れるとユーゴは完全に国際社会から敵視され、5月30日、国連は直ちに新ユーゴスラビアに対し制裁決議を開いてこれが圧倒的多数で可決され、その中に「あらゆる国際スポーツ大会への出場を禁じる」と言う項目も盛り込まれ、FIFA(国際サッカー連盟)に通達されたのだった・・・。

 そして5月31日、ストックホルム入りして相変わらず調整に精を出していたユーゴ代表でしたが、UEFAから下ったお達しに凍りついたのです・・・。
 その内容としては。

 FIFAとUEFAはさきの国連における新ユーゴスラビア制裁法案を受け入れ、親善試合を含めた全ての試合からユーゴスラビア代表を追放する。

 ユーゴスラビアはユーロ92への出場権がない為、すぐさまスウェーデンを出なければならない。

 スウェーデン政府は人道的な理由を除き、ユーゴスラビア代表関係者を入国させてはならない。

 と言うもので、それは即ち国外退去を意味するものでした・・・。このお達しにユーゴ代表の選手は自分たちを否定された屈辱とやり場のない絶望感に落とされたのです。
 スウェーデンを出てユーゴに送還されることとなったユーゴ代表、しかしストックホルムのアーランダ空港ではチャーター便として来たユーゴスラビア航空の便への給油を渋るなど混乱したのでした。この当時の様子についてストイコビッチは自分たちが周囲からの厳しい視線を浴び、屈辱感に駆られたとしている。

 何とか燃料を補給してベオグラードへと帰国したユーゴ代表だったが、空港に駆け付けた数千もの市民に激励されたのでした。この様子をストイコビッチは内戦で疲弊した国民を励ますつもりが逆に励まされたことに感激し、いつか雪辱を誓うと公言している。

 ちなみにユーゴの参加資格停止で代替出場となったデンマークが、そのユーロ92を制すると言うビッグサプライズを起こしている。

 内戦激化で追放されたユーゴ代表ですが、国際サッカー界に復帰するのはそこから2年待たなければならなかったのです。

theme : サッカー
genre : スポーツ

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まとめtyaiました【ユーゴスラビア代表、国際舞台から「追放」】

 現在はセルビア代表としてその名残を残してますが、かつては「東欧のブラジル」とも呼ばれ、テクニシャン揃いで数多くの好選手を輩出したサッカーのユーゴスラビア代表、ヨーロッパのサッカーシーンにおいて強豪国の一つとしても名を馳せましたが、そのユーゴを語る上で...

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