FC2ブログ

チャンピオンズリーグ史上最悪の事件

 イングランドのチェルシーが制したことで幕を閉じた今シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ、イングランド勢がチャンピオンズリーグを制したのは2007-2008シーズンのマンチェスター・ユナイテッド以来ですが、1970年代半ばから1980年代半ばにかけてはイングランド勢が隆盛を極めた時期としてサッカーシーンに残ってますが、ある事件がきっかけで一時期凋落の途を辿ったのでした・・・。そうヘイゼルの悲劇と呼ばれる事件で、ヨーロッパサッカーの歴史においてもイングランドサッカーの歴史においても暗い影を落とした事件として有名です。今から27年前の今日1985年5月29日はそのヘイゼルの悲劇が起こった日です。なぜヘイゼルかと言うと、舞台となったのはベルギーのヘイゼル・スタジアム(現在はボードゥアン国王競技場)だったからです。

 1970年代半ばから80年代半ばにかけて、ヨーロッパのクラブサッカーシーンにおいて主役の座を欲しいままにしてきましたイングランド勢(この間リバプールが4回、ノッテンガム・フォレストが2回、アストン・ビラが1回チャンピオンズリーグを制している、とりわけリバプールはこの10年間に8回もリーグ制覇するなど、黄金期を謳歌していた)、絶頂期を迎え黄金時代を築いた一方で、フーリガンと呼ばれる一部の狂信的な集団による暴力行為や破壊行為がクローズアップされ、スタジアム周辺では常に暴動などが頻発し、大量の警察官を動員するくらい殺伐としたものだったのです。
 折りしも当時イギリス経済が停滞していた時期と重なり、また当時の首相だったマーガレット・サッチャーの掲げる規制緩和政策に伴い、町に失業者が大量にあふれる事態となったことも手伝って、社会全体に対する絶望感から若者を暴力行為に駆り立てる要素となり、結果これがフーリガニズムの暗躍につながったのでした。

 社会への不信感が若者をフーリガニズムへと導き、試合を楽しむのではなく暴力や破壊に訴えて憂さを晴らすことを喜びと感じる間違った考えが浸透し、サッカー場を殺伐とした修羅場へと変えてしまう一因となったのは言うまでもない。試合のたびに暴力沙汰及び大量の逮捕者が出るのは日常茶飯事で、年々エスカレートしていくのでした・・・。

 そんな問題点が一気に噴出したのが、今から27年前の今日1985年5月29日にベルギーのヘイゼル・スタジアムで行われたチャンピオンズリーグ決勝、リバプール対ユベントス(イタリア)だったのです。
 試合開始前からリバプールサポーターはユベントスサポーターを挑発し、物を投げると言う事態まで起こすなどユベントスサポーターと一触即発の事態となり、警備の薄さをついて防御フェンスを破壊したリバプールサポーターが鈍器やレンガでユベントスサポーターを襲撃すると、スタジアムはたちまち蜂の巣をつついたような騒ぎとなって、メインスタンドとその近くにあるスタンドの壁に大量の観客が殺到、壁が人の重みに耐えきれなくなって倒壊すると(老朽化が原因による)、戦闘部にいた観客がなだれ込んだ群衆に押し潰されて窒息死すると言う最悪の事態となり、パニックの火に油を注いだのだった。

 救急車やドクターヘリが駆けつけ、応急措置に追われ現場は大混乱となるも暴徒たちの悪行はこれまでに止まらなかった。
 一部のサポーター同士は暴力を止めず、鎮圧に乗り出した警官隊にも矛先を向けてエスカレートしたと言うのだから、タチが悪過ぎる。
 事態を受けリバプールのジョー・フェイガン監督(当時)がサポーターに対し理性的になるよう訴えるも聞き入れる者はなく、またリバプールのフィル・ニール、ユベントスのガエターノ・シレア両キャプテンが場内アナウンスで冷静になるよう訴えるも、暴徒たちは悪行を止めなかったと言うから、ここまで来るとホントのサポーターではなかったのだろう。

 1時間後に暴動は鎮圧したが、これだけの犯罪行為をしていて逮捕者は15人ぐらいと言うから、なぜ? と思います。また当時はスタジアムの警備の問題だけでなく、鈍器など凶器とされる物の持ち込みが平然と許されていたと言うから、暴力を助長しかねないものであるし、またスタジアムでの飲酒も容認されていたのだから、無秩序状態になってもおかしくない状況だったのだ。

 そんな中行われた試合はユベントスが1-0で勝利しユベントスがチャンピオンズリーグ初優勝を勝ち取るも、試合前に起こった最悪の事態に誰一人として喜んでいる者などなく、トロフィーをもらったのは控室と言うからなお更で、また当時ユベントスの主力だったミシェル・プラティニ「人生で最悪の試合だった」と語っている。

 この事件は当然ヨーロッパ国内で憤慨を招き、加害者であるリバプールがイギリスのクラブと言うことでイギリス人に対する言われなき偏見や暴行が各地で相次ぐなど波紋は広がったのでした。またイギリス側は再発防止の為今回の事件の一因となった危険物の持ち込み禁止、スタジアム内でのアルコール類販売禁止、と言う措置を取り、またイタリア政府とベルギー政府に謝罪する顛末となりました。

 UEFAはこの事態を重く見てイングランドの全てのクラブに対し、ヨーロッパでのあらゆる国際試合から「追放」と言う処分を下し、また加害者であるリバプールは更に3年追加と言う厳しい措置を食らったのでした。後に解除されている。
 また主催者側のベルギーに対しても、UEFA主催の国際試合における決勝戦開催権を剥奪すると言う処分を下すなど、各地に波紋を呼んだのだった。

 この事件が残したことは、一部の愚行によってイングランドのクラブは国際試合から締め出され、活躍の場を奪われたことで競争力低下を招き、1999年にマンチェスター・ユナイテッドがチャンピオンズリーグを制するまで「冬の時代」へと突入するのでした。1989年にイギリス議会においてサッカー監視法なる法律が施行されるなど、再発防止に動いてはいるが、サポーターが大人しくなったのは1990年代に入ってからである。

 時は流れて2005年に両チームはチャンピオンズリーグ準々決勝で相まみえ、ファーストレグにおいてヘイゼルの悲劇の犠牲者に対し黙祷を捧げ、和解ムードへと歩き出しました。

 フーリガンの愚かさが浮き彫りとなり、結果イングランドサッカーにおける黒歴史を作ってしまったヘイゼルの悲劇、社会への閉塞感に対する不満を破壊や暴動に訴えて晴らそうとするのは法治社会において許されないことであるのは誰が見ても明らか。そんなことをするような人たちはサッカーファンとは程遠いし、こう言う輩の存在がスポーツをダメにする一因でもなかろうか。当時の写真やVTRを見ると、暴動に加担しているのは若者だけでなく今は高齢者となっている年代もいる。それらの人々が昨年のロンドン暴動の際「今の若者は何でも暴力に訴えようとする」と批判したところで説得力などこれっぽっちもない。
 現在のプレミアリーグにおいて、サポーターの質は良くなったと言えるが、背景にあるのが社会に対する閉塞感だけに、閉塞感のない社会を築けるかどうかがイギリス政府に求められると言えますね。

theme : UEFAチャンピオンズリーグ
genre : スポーツ

trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

まとめtyaiました【チャンピオンズリーグ史上最悪の事件】

 イングランドのチェルシーが制したことで幕を閉じた今シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ、イングランド勢がチャンピオンズリーグを制したのは2007-2008シーズンのマンチェスター・ユナイテッド以来ですが、1970年代半ばから1980年代半ばにかけて...

comment

管理者にだけメッセージを送る

プロフィール

アジシオ次郎

Author:アジシオ次郎
FC2ブログへようこそ!

最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
最新コメント
最新トラックバック
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード