ムバラク政権崩壊の序曲となったデモから1年
あれから1年、エジプトはどうなったのだろうか・・・。
民主化勢力が反軍政デモに発展すればまた混乱が起こるリスクを懸念し、現在大統領代行で最高評議会議長を務めるムハンマド・タンタウィ議長はテレビ演説で「非常事態宣言を解除する」と発表しましたが、軍政に不満を持つ国民に対し「我々は民主化に積極的だ」と安心感を与える宣伝かも知れない。
また「政党の自由」を許可したのか、民主化勢力の若者たちに政党結成を呼び掛けるなど「反体制」側を政治に受け入れるなど、これまたムバラク政権時代にはない動きを見せていますが、一部から「軍部による人気取りの道具にすぎない」と見ている人はいるのか・・・。
非常事態令解除は、軍部がおそらく「我々はムバラクとは違う」と言うアピールかもしれないです。1981年に当時のアンワール・サダト大統領が暗殺されてすぐ大統領に就任したムバラク、サダトを暗殺したのがイスラム原理主義と言うことでその「封じ込め」を徹底し、反体制勢力を弾圧してきたが、昨年の大規模な反政府デモでムバラク政権が崩壊すると、非常事態令の存在意義を問う声も出て、結果解除した最高評議会、それでも反軍政デモをやめようとしない一部の民主化勢力、議会への権限移譲を訴える声もあり、再び混乱となってしまう危険性も大いにあります。
ムバラク政権崩壊から1年、未だ民主化の「発展途上」にあるエジプト、最高評議会と国民の間の溝がまだ深いことを物語るのではないだろうか。
ホスニー・ムバラク政権を崩壊させた大規模なデモからちょうど1年となる15日、首都カイロにあるタハリール広場では全政権打倒を記念する式典が行われましたが、現在エジプトで政権を担っている軍最高評議会による「(変わらない)独裁」に不満を持つ民主化勢力が「軍政はごめんだ!」と言わんばかりに反軍政デモを呼び掛けるなど、混乱は余計深まっている感じがします。引用
エジプト 反軍政デモ化懸念 評議会、非常事態を解除
【カイロ=大内清】ムバラク前政権崩壊につながった大規模デモ発生から1年にあたる25日、エジプト各地で前政権打倒を記念する集会が開かれ、首都カイロ中心部のタハリール広場には数万人の市民が集まった。軍最高評議会の暫定統治に不満を抱く民主化グループは反軍政デモを呼びかけており、混乱も懸念される。
昨年の反政府デモの中心地となったタハリール広場はこの日、市民で埋め尽くされた。イスラム原理主義組織ムスリム同胞団などの各政治勢力が市民に団結を呼びかけるなど軍側に配慮した態度をみせる一方、軍に対して議会への権限移譲を求める声なども目立った。
こうした中、軍は祝賀ムードを盛り上げようと各地で軍楽ショーなどを行い、集会が反軍政デモに転化しないよう気を配っている。
最高評議会のタンタウィ議長(陸軍元帥)は24日、テレビ演説で「暴徒を取り締まる場合を除き、非常事態令を解除する」と発表、これも、軍が民主化に本気だとの安心感を国民に与える狙いがあるためだ。
非常事態令は1981年、サダト元大統領がイスラム過激派により暗殺されたのを機に布告され、後を継いだムバラク政権下では、治安機関が令状なしで逮捕や盗聴を行う“根拠”となった。30年に及んだムバラク政権による強権支配の象徴といえ、2月の政変後は解除を求める声が強まっていた。軍部としては、国民の要求に一応は応えた格好だ。
ただ、即時の民政移管を求める民主化勢力は「暴徒の取り締まりを除き」との留保が付けられたことに反発。ムバラク政権へのデモ動員に大きな役割を果たした若者中心のグループ「4月6日運動」幹部は24日、「暴徒という言葉を拡大解釈して、民主化デモを潰そうとしている」と非難、デモを続ける考えを強調した。
またタンタウィ議長は演説で、民主化勢力の若者らに政党結成を呼びかけた。批判勢力を政治プロセスに取り込むとともに、デモ継続が政治・経済の混乱につながると国民に印象づける思惑もあるとみられる。
最終更新:1月26日(木)8時19分 「産経新聞」より
民主化勢力が反軍政デモに発展すればまた混乱が起こるリスクを懸念し、現在大統領代行で最高評議会議長を務めるムハンマド・タンタウィ議長はテレビ演説で「非常事態宣言を解除する」と発表しましたが、軍政に不満を持つ国民に対し「我々は民主化に積極的だ」と安心感を与える宣伝かも知れない。
また「政党の自由」を許可したのか、民主化勢力の若者たちに政党結成を呼び掛けるなど「反体制」側を政治に受け入れるなど、これまたムバラク政権時代にはない動きを見せていますが、一部から「軍部による人気取りの道具にすぎない」と見ている人はいるのか・・・。
非常事態令解除は、軍部がおそらく「我々はムバラクとは違う」と言うアピールかもしれないです。1981年に当時のアンワール・サダト大統領が暗殺されてすぐ大統領に就任したムバラク、サダトを暗殺したのがイスラム原理主義と言うことでその「封じ込め」を徹底し、反体制勢力を弾圧してきたが、昨年の大規模な反政府デモでムバラク政権が崩壊すると、非常事態令の存在意義を問う声も出て、結果解除した最高評議会、それでも反軍政デモをやめようとしない一部の民主化勢力、議会への権限移譲を訴える声もあり、再び混乱となってしまう危険性も大いにあります。
ムバラク政権崩壊から1年、未だ民主化の「発展途上」にあるエジプト、最高評議会と国民の間の溝がまだ深いことを物語るのではないだろうか。