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スカーフを着けない者は厳罰

昨年の反スカーフデモを受けてか、イラン政府が強硬になってしまった感じです。
余計女性の権利を侵害しそうでならないけど・・・。

引用

スカーフ非着用、罰則強化 イラン国会、法案可決

イラン国会は20日、髪を隠すスカーフを着用しない女性に対する罰則を強化する法案を賛成多数で可決した。国営メディアが伝えた。禁錮10年の刑を科す場合もある。イランでは昨年9月に始まったスカーフ着用に反対するデモ以降、スカーフをかぶらない女性が若い世代を中心に目立っており、引き締めを図る狙いだ。

警察はデモを受けて見合わせた街頭での服装監視を再開しているが、デモ再燃を懸念して積極的な取り締まりを避けているとの指摘もあり、未着用者が増えている。今回の法案に実効性があるかどうか注目される。

法案によると、外国の政府やメディア、組織と共謀する形でスカーフをかぶらなかった場合は罪が重くなり、5年から10年の禁錮刑を受ける。

自家用車内でスカーフをかぶらない行為を繰り返した場合、車は3カ月間没収される。法案を審査する護憲評議会が承認した後に施行される。

2023/9/21 11:04 「産経新聞」より
女性はスカーフ着用が義務化されているイラン、そのイランで昨年反スカーフデモが頻発し、イランの女性の間でスカーフを着けない者が若い世代に中心に目立ち、イラン政府は「イスラムの教えに反する!!」という理由でスカーフを着けない女性に対する罰則強化を盛り込んだ法案を賛成多数で可決したみたいだけど、それで「(女性を)大切にしている」なんて屁理屈は通用しないと思う。

この法案は海外政府やメディア、組織と共謀する形でスカーフを着けねば罪が重くなるってことだけど、今のイラン政府にすれば体制を維持したいが為に、締め付けを強化してまで国民にそこまでして従わせたいんだろうか。

今回の動きを受けて欧米はイラン制裁を余計強化しそうでならないし、イラン=人権侵害が最悪レベルな国の一つ。という印象を余計助長するだけです。スカーフを着けねば罰則を与えるだけでも個人の権利を侵害するのに、その罰を強化したところでイランは人権よりもイスラムの教え、体制が大事だって印象を与えかねません。それと車を運転する際にスカーフを着けていなけりゃ車を没収する。ってそこまでやる?

theme : 人権
genre : 政治・経済

オスロ合意から30年

「2国家共存」は絵に描いた餅というか「夢のまたその夢」になりそうなこの頃です。

引用

和平機運は霧消 ユダヤ人入植者の襲撃増加 パレスチナ「民衆蜂起」望む声・オスロ合意30年

【エルサレム時事】イスラエルとパレスチナ解放機構(PLO)が1993年9月、パレスチナの暫定自治を認めるオスロ合意に調印してから13日で30年。

 パレスチナ国家を認める「2国家共存」実現への道が開かれたが、聖地エルサレムの帰属など中核的問題を巡る和平交渉は難航し、2014年に暗礁に乗り上げた。占領地ヨルダン川西岸ではユダヤ人入植者による襲撃が急増。パレスチナでは新興武装勢力が生まれている。和平機運が霧消する中、暴力の連鎖は拡大する一方だ。

 ◇極右政治家が助長
 「ずっと標的にされてきたが、こんな規模は初めてだ」。西岸北部ハワラで生まれ育ったユセフさん(44)は、ユダヤ人入植者数百人が2月にこの集落を襲った事件を振り返った。

 襲撃は、ハワラで入植者2人が銃殺されたことへの報復だった。無差別に家屋や車に火を放ち、ユセフさんもトラックなどを失った。6歳の息子のおねしょが始まり、外出を怖がるようになった。「せめて子供らしく遊ばせてあげたい」と語る妻のラワンさん(33)も脳裏に刻み込まれた恐怖に苦しんでいる。

 国連は8月、入植者によるパレスチナ人や集落への襲撃が23年1月から半年間で591件あったと報告。集計し始めた06年以降最多となった昨年を大きく上回るペースで増えている。

 背景には、イスラエルで昨年12月、対パレスチナで強硬姿勢を取る極右政党と連立を組むネタニヤフ政権が発足したことがある。極右政党党首のスモトリッチ財務相はハワラを「壊滅させる必要がある」などと発言。入植者の過激化を助長しているとみられている。

 ◇自治政府に不信
 パレスチナ側による攻撃も増加している。イスラエル軍によると、8月21日時点で34人が死亡。昨年の死者数を既に超えた。

 元イスラエル軍作戦総局トップのイスラエル・ジブ氏は「パレスチナ自治政府が信用を失い、人生に絶望した20代のパレスチナ人がテロ組織に参加することなく独自に行動を起こしている」と指摘。「攻撃の阻止は困難だ」と述べる。

 さらに西岸では、ガザ地区を実効支配し自治政府に対抗するイスラム組織ハマス以外の新興武装勢力も活動を活発化させる。こうした状況に「歯止めをかける」(ネタニヤフ首相)として、イスラエル軍は7月、00年代の第2次インティファーダ(対イスラエル民衆蜂起)以降、最大規模の地上部隊を西岸に展開した。10人以上が死亡した。

 パレスチナでは、和平を実現できず、汚職がはびこる自治政府やハマスなど既存組織への不信感が高まっている。西岸とガザで行われた世論調査では、7割が新興武装勢力の誕生を歓迎する。過半数が新たな「民衆蜂起」を望むなど衝突激化への緊張が高まっている。

 最終更新:9/13(水) 7:24 「時事ドットコム」より
今から30年前に当時のイスラエルのイツハク・ラビン首相、パレスチナのヤセル・アラファト議長がアメリカのビル・クリントン大統領やノルウェー政府の仲介の下で結ばれたオスロ合意、これでイスラエルとパレスチナの対立も終わるかと思いきや、テロと軍事的報復は止まず、2国家共存という夢とオスロ合意は日韓合意などと同じように簡単に反故にされて両者の対立の泥沼化をもたらして現在に至るイスラエルとパレスチナ、イスラエルはどんどんユダヤ人入植地を増やして入植者によるパレスチナ人の集落を襲撃も増え、一方でパレスチナは自治政府の求心力低下が止まずイスラム原理主義組織・ハマスだけでなく新たな武装勢力まで生まれる始末と来たもんだから、オスロ合意前に逆戻りした感じがします。

イスラエルはどんどん強硬化しパレスチナと対話する気が薄くなって、和平どころでなくなったし、パレスチナもガザ地区を実効支配するハマスが未だに影響力を持っているだけでなく、新たな武装勢力が出てきたことで、これまた和平どころじゃない空気です。
パレスチナについてはアラファトが死んでから強い影響力を持つ指導者がおらず、結果ハマスが台頭して欧米からはテロ組織と見なされているハマスのせいで、パレスチナ人にとって苦しい環境に置かれているわけだが、パレスチナの為と言いつつパレスチナ人を恐怖で支配し、不満を抑える為に反イスラエル感情を持ち出したり、ハマスに批判的なパレスチナ人を抑圧しているともいうから、やっていることがイラン(革命政府)やアフガニスタンを支配しているタリバンと変わらない。
こう言うとパレスチナを抑圧しているのはイスラエルではなくハマスだって裏付けますね。

イスラエルとパレスチナの対立に終りが見えないこの頃、オスロ合意が今や過去の歴史になっているわけで、どうなってしまうのか・・・!! いいところで逆戻りして関係悪化を招くって構図は日本と韓国の関係に似ている(こっちについてはほとんど韓国がそうしてるけど)。

theme : 中東問題
genre : 政治・経済

イラン、核開発で譲歩?

アメリカなどに対して「制裁を緩和して」ってアピールでしょうか?

引用

濃縮ウラン一部を希釈 核開発遅らせる動きか イラン

【ワシントン時事】米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は11日、イランが最近数週間で保有する濃縮度60%の高濃縮ウランの一部を希釈したと報じた。

 核兵器に必要な濃縮ウランの蓄積を遅らせる動きで、米高官は「事実なら歓迎する」と語った。

 イランは2015年の核合意で濃縮度3.67%を超えるウラン濃縮を制限。だが、トランプ前米政権が合意を一方的に離脱したことなどを受け、濃縮活動を再加速した。今年5月の時点で、濃縮度60%のウランは約114キロに増えていた。

 最終更新:8/12(土) 8:18 「時事ドットコム」より
イラン最近数週間で保有する濃縮ウランの一部を希釈するとアメリカの「ウォール・ストリート・ジャーナル」が報じたわけだが、核開発に必要な濃縮ウランの蓄積を遅らせることで、アメリカから「ホントならば歓迎する」って挙がっているけど、濃縮ウランの蓄積を遅らせたイラン、これはアメリカを牽制する狙いでしょうか?

それか核開発を遅らせるというか停止することでアメリカから「じゃあ対イラン制裁を緩和する」って妥協を誘うのが狙いだけど、イランからすれば「アメリカを油断させてそこから秘密裏に核開発をする」って魂胆がありそうだし、逆にアメリカも制裁緩和しようもんなら「イランに妥協するなど自殺行為」なんて批判もありそうで、双方の胸中はいかに・・・!? てかアメリカもイランもお互い信用しているようで全然信用していないからなァ・・・。日本と韓国もああだといいのに。

この動きについてイブラヒム・ライシ大統領やアリー・ハメネイ師はどう思ってるんだろうか・・・?
アメリカの妥協を誘ってそこから自分たちの思うようなシナリオでも考えてるとすれば、逆にイランの思うツボとなりそうです。てか他の中東諸国からすればイランのこの動きはどう見てるんだか。

theme : 軍事・安全保障・国防・戦争
genre : 政治・経済

またコーランを燃やされて

イスラム教にとって大事なもんをぞんざいに扱われたら怒るのは当然です。
てかキリスト教徒に問いたい。聖書やキリストをバカにされたらどう思うんだ?

引用

コーラン侮辱、抗議相次ぐ イスラム圏、デンマークに

デンマークの首都コペンハーゲンにあるイラク大使館前で24日、男性らがイスラム教の聖典コーランを燃やしたことを受け、イスラム諸国は抗議声明を相次いで発表した。ヨルダン外務・移民省は「暴力を扇動し、宗教を侮辱している」と非難し、トルコ外務省は「卑劣な攻撃」と指摘した。

デンマークやスウェーデンではコーランを燃やしたり踏みつけたりする事案が繰り返され、イスラム諸国は侮辱行為の禁止を要求。ただ「表現の自由」を重視し規制に慎重な欧州諸国との隔たりは大きい。

アルジェリア外務・在外自国民省は24日、駐在するデンマーク大使を呼び出して抗議したと発表した。「犯罪の加害者を守る口実として表現の自由を利用するのは不適切だ」と伝えたという。

イエメンのメディアによると、首都サヌアでは24日、数千人がデモ行進を行い、デンマークとスウェーデン製品の不買運動を呼びかけた。

2023/7/25 08:27 「産経新聞」より
スウェーデンに続いて今度はデンマークでもイスラム教の聖典・コーランを燃やすという暴挙が起こったことから、イスラム諸国が相次いで抗議声明を出したわけだが、イスラム教徒にとって大事なコーランをこんなぞんざいに扱われたことでイスラム教徒にすれば怒り心頭になるのも無理はありません。
「暴力を扇動し、宗教を侮辱している」(ヨルダン)「卑劣な攻撃」(トルコ)のコメントがそれを物語っている。

デンマークとスウェーデンではここ最近コーランを燃やしたり踏みつけるという暴挙が相次ぎ、イスラム諸国は侮辱行為を止めさせるよう訴えているものの「表現の自由」を傘にそれに消極的だから、欧米のいう表現の自由とは何かが問われてもおかしくないけど、正直言って「表現の自由」ったって❝例外❞があることぐらい知らないんですか? 自由だからといって何をしても許されるとは大間違い。他の宗教をバカにしたり国家や民族、人種などをバカにしたりするようなものは「表現の自由」とは認めたくない。

アラブ・イスラム国家における反デンマーク・反スウェーデン感情を煽りそうな事態になったが、デンマークやスウェーデンに非があると思う。表現の自由を傘に他の宗教をバカにするような行為をしたんだから国際問題に発展しておかしくないし、イスラム国家における反欧米感情を煽って一方的な対立しかもたらさない。てかデンマークはかつてムハンマド風刺画問題でイスラム諸国から大ブーイングを食らったのに、それに懲りることなくまたイスラム教にケンカを売るようなことをした。そんなにイスラム教が嫌いなんですか? って言いたくなる。

イラクではスウェーデン大使館が放火されるという事態にもなったが、大使館や領事館が襲撃されてもおかしくないです。中東はイザ知らずイスラム国家全体に拡大しそうな反デンマーク・反スウェーデン感情、デンマークにせよスウェーデンにせよ、韓国みたいなことをやらかしたな!!

theme : 国際問題
genre : 政治・経済

ヨルダン川西岸が「大騒ぎ!」みたいです

国際社会からの反発を無視してユダヤ人入植地を新設したもんだから、パレスチナの怒りを煽ったとしか思えない。

引用

パレスチナ人2人が銃撃、入植者4人死亡 イスラエル占領地西岸

イスラエル軍が占領するヨルダン川西岸北部のユダヤ人入植地近郊で20日、パレスチナ人の男2人がガソリンスタンドやレストランを銃撃、ユダヤ人入植者ら4人が死亡した。軍が発表した。男2人はいずれも射殺された。イスラエル、パレスチナでは双方による暴力の連鎖が続いており、沈静化の兆しは見えない。

西岸北部ジェニンでは19日に軍が武装パレスチナ人への急襲作戦を実施し6人を殺害したばかり。イスラム組織ハマスは、男2人がメンバーだったと認め「ジェニンの虐殺に対する自然な対応だ。占領政府(イスラエル)は兵士や入植者が悪夢を見ることを理解せよ」との声明を発表した。

イスラエルのネタニヤフ首相は「われわれはテロと戦い続け、打ち負かす」と強調した。

地元メディアによると、銃撃があったのは西岸北部の入植地エリ近郊。男2人がガソリンスタンドや隣接するレストランで乱射、死者4人のほか、4人が負傷した。実行犯のうち1人は銃を携帯していたイスラエル市民に射殺され、もう1人は車で逃走後、軍兵士に発見され射殺された。

2023/6/21 08:25 「産経新聞」より
20日にイスラエルヨルダン川西岸地区にあるユダヤ人入植地にてパレスチナ人2人が銃撃を起こしてユダヤ人4人が死亡するという事件が起こったが、ついこの前イスラエルは「ユダヤ人入植地を新設する」とヨルダン川西岸にユダヤ人入植地を新設したもんだから、これに対してパレスチナが「イスラエルによる占領を許すな!!」と激怒したものの、今月19日にヨルダン川西岸北部のジェニンにイスラエル軍がけしかけてきてパレスチナ人6人が死亡するという惨事となったことから、今回の銃撃はおそらくそれに対する❝報復❞と見ていいでしょう。
「やられたらやり返す」が常識なイスラエルとパレスチナ、大騒ぎどころのもんじゃありません。

「ジェニンの虐殺に対する自然な対応だ。占領政府(イスラエル)は兵士や入植者が悪夢を見ることを理解せよ」とイスラム原理主義組織「ハマス」は今回銃撃を起こした男2人がいずれもハマスのメンバーだったことから、ハマスにすれば構成員を殺されたことでイスラエルへの怒りを強調しているけど、イスラエルもイスラエルで「われわれはテロと戦い続け、打ち負かす」と平行線だから、こりゃ当面暴力の連鎖は止まらないな。

再び大騒ぎとなったパレスチナ、ただ国際社会の関心はウクライナに目が行きがちなせいで放置されるのでは?

theme : 中東問題
genre : 政治・経済

「またヨルダン川西岸に入植地を作るぞ~」

ウクライナに土足で踏み込んでって勝手に傀儡国家を作ったロシアじゃないけど、自分たちの土地と思い込んで土足で踏み込むという行為、ここもですね。

引用

入植住宅4560戸承認へ 最終決定までの過程も短縮 イスラエル

 イスラエルのメディアによると、極右政党の党首を務めるスモトリッチ財務相は18日、ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地で計4560戸の住宅を新たに建設することが承認されると明らかにした。

 26日に開かれる入植地に関するイスラエル軍の委員会で決定されるという。

 また、イスラエル政府は18日、西岸における入植住宅建設の最終承認までの過程を短縮することも決定。建設開始には国防相の承認が各段階で必要だったが、それが1~2回となる。さらに、承認過程の監督権限が国防相からスモトリッチ氏が兼務する新設の「第2国防相」に移る。

 イスラエルは、今年2月にヨルダン南部アカバで開催されたパレスチナや米国などとの会議で、4カ月間は新たな入植住宅に関する議論をやめることなどに合意していた。約束した期間が今月下旬に終わるため、入植活動推進に踏み切ったとみられる。

 最終更新:6/19(月) 14:28 「時事ドットコム」より
ヨルダン川西岸地区に新たにユダヤ人入植地を作ることを強行したイスラエル、今年2月のアメリカとパレスチナなどとの会議で4ヶ月間は入植地を新たに作らないと合意したものの、それが今月下旬で切れるからだったらもう入植地を新たに作っちゃおうってイスラエルは思い込んで新たな入植地作りに動いたんでしょうね。

またイスラエルはヨルダン川西岸における入植地新設を承認する過程を短縮するというゴリ押しを決定したというから、改めてイスラエルはヨルダン川西岸を実効支配しようとしているのでは・・・!?
これがパレスチナとの和平交渉に悪影響が出るとアメリカは懸念しており、当然国際社会からもユダヤ人入植地は認めないと懸念の声も出ているが、イスラエルに取っちゃどこ吹く風になりそうです。
「ここは元々我々の土地なんだから何をやっても勝手だろ!!」って逆ギレに訴えてきそうでならない。選民思想丸出しなユダヤ人だけにそんな態度は考えられる。
ベンヤミン・ネタニヤフ政権が一方的な司法改革に走った次はヨルダン川西岸地区に新たにユダヤ人入植地を作る。こう見るとイスラエルのやりたい放題は続いてるってことだ。

さらにパレスチナ、今回ヨルダン川西岸地区に入植地を新設することを決行したイスラエルに対して強く反発することは目に見えているし、ガザ地区を実効支配しているイスラム原理主義組織「ハマス」がまたイスラエルに宣戦布告しそうでならない。即ちまたパレスチナ問題が再燃ということになりそうです・・・。
エルサレムを巡る争いの次はヨルダン川西岸地区を巡る争い、改めてパレスチナ問題は複雑怪奇です。

theme : 中東問題
genre : 政治・経済

あれから20年、イラクは変わらないか

ロシアによるウクライナ侵攻より前の「大儀なき戦争」の代名詞だったあの戦争勃発から20年を迎えましたが、その当事国は今・・・?

引用

まん延する汚職文化 経済振興阻害、深まる政治不信 イラク

【カイロ時事】イラクでは2003年の戦争後、米国主導でもたらされた民主主義体制の下、汚職文化が根付いた。

 スダニ首相は昨年10月の就任に先立つ演説で「生活のあらゆる面に影響する汚職のまん延は、新型コロナウイルスより致命的だ」と強調。しかし、国民の政治不信は深く、汚職撲滅への期待は低い。

 イラクは国家収入の約9割を石油産業に依存する。民間企業が育たず、公務員を過剰に雇用することで国民生活を支えてきた。若者の人口が増加し、雇用の受け皿を確保する経済振興が喫緊の課題だが、政界にはびこる腐敗が阻害要因となっている。

 スダニ氏は就任早々、21年から約1年間で総額25億ドル(約3300億円)が当局から企業に流れた事件の究明に着手。「利害関係者が国を乗っ取っている」と糾弾し辞任した元財務相にも、公金横領容疑で逮捕状が出され、闇の深さがあらわになった。

 歴代政権も汚職撲滅を掲げたが、政争に利用されることもあり、実現には程遠い。03年のフセイン政権崩壊後、4000億ドル(約53兆円)以上が国庫から消えたとされる汚職構造の改革にスダニ氏が本気で取り組むか、疑問視する声もある。

 戦後のイラクは独裁政権の教訓から、権力分散を徹底するため、民族や宗派で政治権力を分け合う方式を採用。これが石油や国際支援、省庁に関連する利権を分配する腐敗の土壌となった。

 北部アルビルの薬剤師ムハンマド・ナジーブさん(28)は「汚職がなければ、イラクは素晴らしい国になれるのに」と嘆く。九州大大学院の山尾大准教授(イラク政治)は「民主化などさまざまなことを一気に進めた結果、仕組みができる前に利権の争奪戦が始まった」と指摘。「独裁体制崩壊後、明るい未来を期待した国民の政治に対する憤りは大きい」と話している。

 最終更新:3/20(月) 7:47 「時事ドットコム」より
アメリカによるイラク戦争勃発から20年が経ったイラク、長年イラクを支配してきたサダム・フセインが倒されてからはテロと暴力、汚職が蔓延する絵に描いた❝無秩序❞状態になっているけど、「生活のあらゆる面に影響する汚職のまん延は、新型コロナウイルスより致命的だ」と昨年10月に首相に就任したムハンマド・スダニ首相は述べたけど、長年の混乱がもたらした国民の政治不信は収まっておらず、イラクを長年蝕む汚職の常態化を撲滅出来るのかと信用されていないみたいです。

大概のイラク国民からすれば、イラク政府はフセイン政権を反面教師としたのか民族と宗派で政治権力を分ける方式を取ったものの、イラク国内で大半を占めるシーア派、少数派のスンニ派、クルド人で対立することは目に見えており、当然自分たちの利益しか考えていないことから汚職が蔓延する事態となったのは言うまでもないが、また公務員を優遇したせいで民間企業が育っていないことも経済発展が遅れている上に汚職が無くならない要因となっています。
公務員を優遇したせいで経済が停滞、ギリシャもヒドかったがイラクはそれに輪をかけてヒドいってことかも知れない。

独裁者フセインが倒されて良くなると思いきや、かえって悪化してしまったイラク、フセインによる恐怖政治と汚職ばかりの今の政府とどっちが嫌かと思えば、ほとんどのイラク国民は後者を選ぶでしょうね。結局アメリカはイラクに何をもたらしたのか?

theme : 国際政治
genre : 政治・経済

独裁者と化しそうなネタニヤフ

司法を平気で捻じ曲げたり、憲法を勝手に改悪したりして権力を強めようとするそのやり方、独裁者の常套句だが・・・。

引用

イスラエル、極右政権の「司法改革」に大規模デモ 独裁国家と批判

 イスラエルで昨年12月末に発足した右派のネタニヤフ政権が打ち出した「司法改革」を巡り、市民による大規模な抗議活動が起きている。政権側は「国民に選ばれていない司法が力を持ちすぎている」として、最高裁による法律審査の権限を制限する案を発表した。野党や司法界は「政権が絶対的な力を持ち、独裁国家になる」と批判している。

 「民主主義を守れ」「(政権は)恥を知れ」。イスラエル各地で今月14日、司法改革に抗議するデモが実施された。中部テルアビブには約8万人の市民が集結。イスラエル国旗を手に持って参加した会社員のダナ・コーヘンさん(54)は「政権は『ユダヤ人優位』の国家を目指し、アラブ人ら少数派を排除しようとしている。そのため、少数派の権利を守り、民主主義の基盤となってきた司法を弱めようとしているのだ」と主張した。

 ネタニヤフ政権は複数の極右政治家が入閣し、史上最も「右」とされる。レビン法相は政権発足から6日後の今月4日、司法改革の素案を発表した。イスラエルには憲法に相当し、少数派の権利などを規定した「基本法」があり、法律が基本法に合致するかチェックする権限が裁判所に認められている。日本の違憲立法審査権と同様の仕組みだ。

 素案では▽最高裁が法律を無効とする条件を厳しくする▽国会で過半数が賛成すれば、最高裁による法律無効の判決を覆すことができる▽裁判官を指名する委員会のメンバーのうち、過半数を政権が選出する▽各省庁の法律顧問を政権が指名する――などだ。「改革」が実行されれば司法の介入は事実上排除される。

 政権側は、これまで司法が過剰な力を持ち、国民に選ばれた政権の政策を妨害してきたとして「権力のバランスを戻す」と主張。野党側は、民主主義の土台となっている三権分立が損なわれると訴える。

 改革が導入されると、何が起きるのか。極右政治家は多くのパレスチナ人が住むヨルダン川西岸で、国際法違反とされるユダヤ人入植地を拡大し、西岸を事実上「併合」しようともくろむ。これまで最高裁は、国内法と国際法の双方を考慮し、入植地の拡大やパレスチナ人住宅の強制撤去などを一定程度抑制する役割を担ってきた。司法の機能が弱められれば、入植地は制限なく拡大する恐れがある。また、極右は性的少数者(LGBTQなど)の権利にも否定的で、ユダヤ人の間でも差別が広がる可能性がある。

 政権は、すでに司法との争いを抱えている。最高裁は18日、過去に脱税などで有罪判決を受けているデリ内相兼保健相の閣僚就任を無効とする判決を下した。また、ネタニヤフ首相自身も汚職容疑で公判中だ。政権側は「司法改革」によって、これらの問題を解決しようとしている可能性もある。

 司法の弱体化はイスラエルだけではなく、右派や中道右派が政権を握る東欧のポーランドやハンガリー、中東のトルコでも起きている。ネタニヤフ政権は「他の民主主義国にある制度を、イスラエルでも導入するだけだ」と主張する。だが、イスラエルにあるヘルツェリア学際センターのヤニブ・ロズナイ准教授(比較憲法)は「イスラエルは他国と異なり、(政権を抑制する)システムが最高裁以外にほとんどない」と指摘する。

 ロズナイ氏によると、他国では政権の力を抑制するため、国会の2院制▽権力を分散する連邦制▽国民が欧州人権裁判所など国際的な裁判所にも訴えることができる――などの仕組みがある。だが、イスラエルには、いずれも存在しない。最高裁の判決を国会が「無効化」する条項はフィンランドやカナダにあるが、フィンランドでは国会で3分の2の賛成が必要であるなど、厳しい条件が付けられている。ロズナイ氏は、司法改革は「政権に絶対的な権力を与えるものだ」と指摘し、イスラエルの民主主義にとって「非常に大きなリスクだ」と警鐘を鳴らす。

 イスラエルはこれまで他のアラブ諸国とは違い、中東の数少ない民主主義国家として欧米から一目置かれてきた。だが、司法改革はイスラエルの国際的な評価を落とし、今後の外交関係に影響しかねないとの見方も出ている。

 司法界も、改革を強く批判する。今月12日には複数の元検事総長や元最高裁判事が、今回の改革は司法を「破壊しかねない」との意見書を発表した。

 大規模デモが起きた翌日の15日、ネタニヤフ氏は「司法改革を公約にした我々に(選挙で)数百万人の人々が投票した。彼らは改革を求めているのだ」と強調した。政権は3月末までに司法改革を巡る法案を可決する姿勢を示している。

 最終更新:1/19(木) 4:30 「毎日新聞」より
イスラエルで昨年末に発足したベンヤミン・ネタニヤフ政権、てかまた政権の座に返り咲いたネタニヤフ首相、何だかロシアのウラジミール・プーチンと同じだわ。
首相に返り咲いて早々閣僚が神殿の丘をゲリラ訪問して、またパレスチナ問題の火に油を注ぎかねない状況を作るなどまた緊迫の様相をもたらしかねないが、今度は最高裁による法律審査権限を制限するという一方的な司法改革に乗り出したことで「政権が絶対的な権力を持つことで独裁国家になりかねない」という懸念が出てきたみたいです。

最も右寄りなネタニヤフ政権、仮に司法改革がまかり通れば国際的な反発を招いているユダヤ人入植地の拡大が強まりそうだし、パレスチナ人やLGBTQの権利が蔑ろにされかねないことで、中東において最も民主主義が進んでいるイスラエルだが、敵対しているアラブ諸国同様権威主義かつ独裁的な国家に成り下がりません。
「司法改革を公約にした我々に(選挙で)数百万人の人々が投票した。彼らは改革を求めているのだ」と強気なネタニヤフ首相だが、自分の野望の為でしかない。

法の支配や人権擁護といったもんを無視して権力を強化しようとするネタニヤフ首相、やろうとすることはかつて自分たちを迫害・虐殺したナチス・ドイツのアドルフ・ヒトラーと重なるわ。ヒトラーは独裁者だがネタニヤフ首相もそうなりそうで恐ろしい。
ロシアのプーチンみたいにまた権力に返り咲いてやりたい放題しそうなネタニヤフ首相、そこまでして何をしたいんでしょうか・・・。

theme : 妄執政治を斬る。
genre : 政治・経済

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アジシオ次郎

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